超高齢社会のセーフティーネット ~高まる市民後見人への期待~

 超高齢社会に突入し、認知症高齢者は460万人を上ると推計されています。日常生活の中で様々な判断能力が低下した高齢者に、高額商品をはじめサービスを契約させる電話勧誘や訪問販売による被害などのトラブルが後を絶ちません。国民生活センターの報告では、認知症高齢者の消費者トラブルの相談は昨年、11499件で過去最多となり、相談者の8割が家族や介護ヘルパーで周囲のケアがなければ被害が発覚しにくいことを指摘しています。

 判断能力が十分ではない人に代わって財産管理や契約を代行する「成年後見人制度」が2000年介護保険制度とともにスタートしています。当初の利用者は9,000人、今では144,000人まで増えています。一方、少子化や核家族により9割を占めていた親族後見人が減少しており、弁護士や専門職だけでは、将来の後見人不足は明らかです。国も喫緊の課題として捉え、市民の後見人育成と体制づくりに向けて20124月老人福祉法を改正し、市町村に対し後見人の育成や体制づくりを努力義務としました。地域における権利擁護の担い手として、弁護士等の専門職以外の市民後見人の果たす役割はきわめて大きく、住民自らの参加による支え合いのしくみと、地域福祉の担い手が増えることに加え、地域コミュニティ再生のカギとしても市民後見人制度は重要な取り組みと考えます。

 座間市では、未だ市民後見人の育成等に向けた動きはありませんが、市内NPO法人が自発的に市民後見人育成講座を実施しています。今後はNPOが担う後見人制度の実践を学び、制度上の課題についても共有できる場をつくりたいと思います。